ANALYSIS
過去問は、解き方しだいで「8%」にも「7割」にもなる
「過去問は何年分やればいいですか?」とよく聞かれます。当院で第29回〜第34回の全2,040問を調べたところ、大事なのは年数ではなく解き方でした。
下の表は、第29回〜第33回(5年分)を勉強した人が、最新の第34回で何問に対応できたかの推定です。同じ5年分を使っていても、勉強の仕方で結果がここまで変わります。
ここが重要
国家試験の合格ラインは60%。①の丸暗記だけでは8%にしかなりませんが、③まで到達すれば64〜69%と合格ラインを超えます。
過去問は「何年分やるか」より「どう解くか」で差がつきます。
なぜ丸暗記だと8%止まりなのか
試験を作る側は、まったく同じ問題文をそのまま出すことは少なく、同じ知識を別の聞き方に変えて出してきます。②③で拾えた問題を実際に調べたところ、聞き直し方は次の3パターンに整理できました。過去問を解いたあとの復習で、この3方向を意識して教科書を確認しておくと得点力が変わります。
パターン1 出題の向きを逆にする
前の回は「Aにあるのはどれか」と場所から聞き、次の回は「Bはどこにあるか」と対象から聞く。答えを覚えただけの人は対応できません。
例
前の回「橋にある中枢はどれか」
…選択肢のなかに対光反射中枢が並ぶ(=橋にはないので、これは誤り)
次の回「対光反射の中枢はどこか」
…選択肢のなかに中脳が並ぶ(=これが正解)
聞かれている知識はどちらも「対光反射の中枢=中脳」。前の回で「橋ではない」とだけ覚えた人は、次の回で答えられません。
対策:解いたときに「では逆に聞かれたら?」と一往復ぶん確認しておく
パターン2 誤りの選択肢を入れ替える
同じ論点で、毎回ちがう「もっともらしい誤り」を並べてきます。正解だけを覚えていても、選択肢が変わると迷ってしまいます。
例
前の回誤りの選択肢に「体温調節中枢は延髄にある」
次の回誤りの選択肢に「体温調節中枢は大脳基底核にある」
どちらも「体温調節中枢=視床下部」と押さえていれば消せます。正解の内容は毎回ちがっても、4択のうち1つを確実に外せるのが大きな武器になります。
対策:正解だけでなく「他の3つがなぜ誤りなのか」まで確認する。確実に消せる肢が増えます
パターン3 資格をまたいで出し直す
はり師きゅう師で出た内容が、翌年あん摩マッサージ指圧師で問われる(またはその逆)ケースが多数ありました。実際、自分の資格の過去問だけだと拾える問題は半分以下になります。
例
はりきゅう膵臓の問題として「膵管は十二指腸に開口する」を問う
あん摩胆道の問題として、総胆管と主膵管の開口のしかたを問う
科目も切り口もちがいますが、必要な知識は「総胆管と主膵管は大十二指腸乳頭で合流して開口する」という同じ1つの解剖です。
対策:共通科目はもう一方の資格の過去問も解く。対応できる範囲が一気に広がります
※ 上の例は、実際の試験問題の文章ではありません。出題のされ方を説明するために、教科書に載っている一般的な知識をもとに当院が作成したものです。
過去問だけでは足りない科目もあります
一方で、第34回には過去5年に出ていない知識で作られた問題も、あん摩で27問(17%)、はりきゅうで39問(22%)ありました。この「初見問題」には科目のかたよりがあります。
教科書での学習が必要な科目
- 経絡経穴概論・東洋医学概論
はりきゅうで最も初見が多い。細かい経穴や理論は通読が必要
- 解剖学・生理学
範囲が広く、毎年ちがう部位・機能から出る
- 東洋医学臨床論
あん摩で初見が多い。症例の設定を変えて問われる
過去問がよく効く科目
使い回しが最も多く、過去問学習の費用対効果が高い科目です。まずここから固めると効率的です。
※ 数値は、当院が問題文・選択肢に含まれる専門用語の重なりを機械的に集計して推定したものです。実際の学習範囲は教科書で共通しているため、体感のカバー率はこれより高くなります。試験問題の著作権は公益財団法人東洋療法研修試験財団にあるため、当ページでは問題文を掲載せず、集計結果のみを掲載しています。